樹脂素材は様々な用途の部品に使用されていますが、滑り特性が必要な場合、どのような樹脂を選定をすればよいかお困りではありませんか?
滑り特性の高い代表的な樹脂には、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)とUHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)の2種類があります。
この記事ではPTFEとUHMW-PEの特性や採用のメリットなどを徹底解説します。
ぜひ選定の際に参考にしていただければと思います。
▼過去の記事はこちら
「フッ素樹脂完全ガイド:PTFEとPFAの違いと適切な用途別選択法」
目次
滑り特性を持つ2大樹脂素材
滑り特性とは摩擦係数の低さや耐摩耗性などのことですが、これに特に優れた特性を持つのが以下の2大樹脂素材です。
PTFEとは?

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は組成の安定したフッ素樹脂で、テフロンなどの名称が一般的です。
発見されたのは1938年と意外と歴史が長く、耐熱性や安定性を活かして化学プラントや半導体製造工場などで広く利用されています。
またフライパンのフッ素コーティングにも使われていて、意外と身近な存在なのです。
UHMW-PEとは?

UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン)は分子量がとても多い樹脂素材で、1953年に発見されました。
従来のポリエチレンでは厳しい環境でも使用可能で、ギアやローラーなど金属部品の代替として利用されています。
PTFE vs UHMW-PE特性比較
次にPTFEとUHMW-PEそれぞれのおもな特性を比較します。
どちらの素材も滑り特性は優秀ですが、それぞれ得意とする領域が違いますので選定の際にはこれらを考慮しましょう。

PTFEが得意とする領域とは?
PTFEのメリットは以下の3つで、過酷な環境でも使用できます。
滑り特性の面では動きの少ない静的な条件下が得意です。
・耐熱性:樹脂素材トップクラスの260℃前後まで使用できます
・低摩擦係数:表面の摩擦係数が非常に低く、粘着性も低くて汚れが付きにくいです
・耐薬品性:酸、アルカリなどほぼすべての薬品に対して耐性があります
UHMW-PEが得意とする領域とは?
UHMW-PEのメリットは以下の3つで、機械部品として有用です。
滑り特性の面では激しい動きを伴う動的条件下が得意です。
・耐摩耗性:機械的強度がトップクラスで、負荷が高くても金属に近い耐摩耗性をもっています
・耐衝撃性:叩いても割れにくく、衝撃が加わってもヒビ等が発生しにくいです
・低コスト:UHMW-PEはPTFEよりも低コストで、量産部品に向いています
どちらを選べばいいかがわかる!PTFE vs UHMW-PE選定ガイド
ここまで、それぞれの特性について紹介してきましたが、実際に滑り特性の必要な箇所に採用を検討する場合、PTFEとUHMW-PEのどちらがよいのか気になるところです。
ここでは代表的な3つの条件下で、どちらの素材を選ぶべきか比較してみました。
使用環境は静的?動的?

樹脂部品を採用する環境での負荷のかかり方が静的か動的か、が決め手となります。
静的環境では樹脂部品にかかる力や重量が少なめで、また激しい負荷を伴わないものです。
この環境下ではPTFEのとても低い摩擦係数にメリットがあり、選定の第一候補となります。
UHMW-PEも摩擦係数は低く静的環境下でも機能するのですが、比較した場合PTFEがより優れます。
※静的環境例:型の離型、摺動部シール材、コーティング
動的環境は負荷の高さと動きの多さが特徴で、衝撃的な力が加わる場合もあります。
この環境下では UHMW-PEの耐摩耗性、耐衝撃性がメリットになっており、機械的強度と耐久性を発揮します。
PTFEは高負荷環境では変形や破損を伴うので不向きです。
※動的環境例:ギア、コンベア、ガイドレール
温度条件は80℃以上?80℃以下?

採用環境の温度条件も重要で、80℃以上の環境ではPTFE一択です。
PTFEは260℃まで耐えられるので、化学プラントや半導体工場などでも採用できます。
UHMW-PEを採用する場合は雰囲気温度も重要ですが、70℃程度を超える場合は使用方法によって耐久性が著しく低下する恐れがあるので注意が必要です。
重視するのはコスト?特性?

樹脂素材の採用を決める上で、コストと特性どちらを重視するかも大切です。
コストに関しては圧倒的にUHMW-PEが安いため、とにかくコストを下げたい箇所や大量に生産する場合に向いています。
一方でPTFEはコストこそ高いものの、その他の特性が非常に優れており過酷な環境下を得意としています。
特に耐熱性に加えて耐薬品性の高さが大きなメリットで、化学プラントで特定の薬品、溶剤等を扱う場合に適しています。
UHMW-PEは濃硫酸、濃硝酸などの強力な酸化剤に弱いため、これらを扱うかどうかを確認しましょう。
PTFE vs UHMW-PE採用の注意点
ここまで採用のポイントについて解説してきましたが、最後にPTFEとUHMW-PEそれぞれを採用する上での注意点についてもお伝えします。
選ぶ際には次のことを注意してください。
PTFE採用時の注意点

PTFE採用時の注意点として、クリープによる変形があります。
PTFEは耐熱性こそ高いものの、熱可塑性樹脂のため温度が高い環境ではクリープ変形が発生します。
静的環境でも長期間負荷がかかれば永久変形やクリープ破壊につながるため、見極めが重要です。
有恒商会ではPTFEのクリープ対策方法についても詳しく解説しておりますので、お困りの方はこちらの記事をぜひご覧ください!
▼過去の記事はこちら
UHMW-PE採用時の注意点
UHMW-PE採用時の注意点は以下の2つになります。
・精密加工時の精度低下
UHMW-PEは射出成形が難しく、圧縮成形や押出成形で成形します。
成形後の切削加工は楽ですが、熱膨張率が大きいため精密加工の際に精度が下がります。
仕上げ寸法が加工後の熱膨張やクリープで変化しますので、精度が必要な場合は調整を行いましょう。
・接着が困難
UHMW-PEを接合、固定する際には接着剤がほとんど効きませんので、ねじなどでの固定や熱溶着を用いましょう。
PTFEも接着剤はあまり効きませんが、有恒商会ではPTFEの接着性を高める表面処理加工を提供しています。
PTFEの接着をお考えの方は、ぜひ一度以下の記事をご覧ください。
▼過去の記事はこちら
選定基準のまとめ
最後に滑り特性を重視する場合の、PTFEとUHMW-PEの選定基準についてまとめます。
PTFE
①静的で過酷な環境下
②温度の高い条件下
③薬品に侵される危険のある箇所
UHMW-PE
①動的で物理的な負荷が高く、衝撃も加わる環境下
②特に摩耗が進む箇所
③コストを低く抑えたい場合
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有恒商会では滑り特性を持つ樹脂について幅広いラインナップや加工実績を有しており、滑り特性樹脂部品をお探しの方にご提供できます。
加工ではカット、クリーンルーム内加工、他部材との接着等様々な加工に対応可能です。
樹脂製品でお困りの方は、ぜひ有恒商会にご相談ください。
当社営業よりすぐにご回答させていただきます。






