半導体製造には、クリーンルームが不可欠です。
空気中の微細な塵や化学物質を厳格にコントロールし、製品の品質を守るために設計されています。
半導体製造装置や、そこに使われる部品においても同様にクリーンであることが求められています。
「持ち込まない」「発生させない」「堆積させない」「除去する」という四原則を遵守することで、
クリーンルームはその機能を果たします。
この記事では、クリーンルームの基礎知識と半導体産業においての
クリーンルームの重要性について解説します。
目次
クリーンルームとは?
クリーンルームは、空気中の粒子数を厳格にコントロールし、環境を清潔に保つ特別な部屋です。
半導体製造においては、極めて微細な回路が特徴であるため、
ほんのわずかな塵や汚れも製品の品質に大きく影響します。
そのため、製造環境のクリーンさが極めて重要となります。
工業用クリーンルームとバイオクリーンルームの違い
クリーンルームの種類は「工業用クリーンルーム」と「バイオクリーンルーム」の2種類あります。
工業用クリーンルームは、主に半導体や精密機器の製造に用いられ、
空気中の塵や化学物質を制御します。
一方、バイオクリーンルームは生物学的な実験や製造に使用され、
細菌やウイルスなどの生物的汚染を防ぐことに特化しています。
両者はその用途と制御すべき汚染物質の種類によって設計が異なります。
クリーンルームのクラス分け
クリーンルームは、ISO 14644-1に基づいてクラス分けされます。
清浄度クラス | 上限濃度(個/m3) | ||||||
ISO 14644-1 | 米国連邦規格 (Fed.Std.209E) | 測定粒径 | |||||
0.1μm | 0.2μm | 0.3μm | 0.5μm | 1μm | 5μm | ||
Class 1 | – | 10 | 2 | – | – | – | – |
Class 2 | – | 100 | 24 | 10 | – | – | – |
Class 3 | 1 | 1,000 | 237 | 102 | 35 | – | – |
Class 4 | 10 | 10,000 | 2,370 | 1,020 | 352 | 83 | – |
Class 5 | 100 | 100,000 | 23,700 | 10,200 | 3,520 | 832 | – |
Class 6 | 1,000 | 1,000,000 | 237,000 | 102,000 | 35,200 | 8,320 | 293 |
Class 7 | 10,000 | – | – | – | 352,000 | 83,200 | 2,930 |
Class 8 | 100,000 | – | – | – | 3,520,000 | 832,000 | 29,300 |
Class 9 | – | – | – | – | 35,200,000 | 8,320,000 | 293,000 |
※米国連邦規格Fed.std.209Dは、2001年に廃止され、
国際統一規格であるISO規格に移行されていますが、
現在もクラス1000、10000と呼ばれることも多いです。
クリーンルーム内の空気の純度を、空気1立方メートル中の特定サイズの粒子数で定義します。
クラスが低いほど、より清浄な環境を示します。
一般的に半導体工場ではハイレベルなクリーン度が求められるため、
ISO 14644-1 規格で言うとClass3~5(米国連邦規格 クラス1~100)の
クリーンルーム内で製造が行われています。
半導体製造装置・それを構成する部品や精密機器、電子部品等は
ISO 14644-1 規格で言うとClass5~7(米国連邦規格 クラス100~10000)の
クリーンルーム内で製造が行われています。
有恒商会にも、Class6(クラス1000)の工業用クリーンルームがあり、
半導体製造装置向け部品や電子部品の製造をしています。
(※必要に応じてClass5(クラス100)のブースを作ることもできます。)
半導体業界向け部品の製造になぜクリーンルームが必要なのか
半導体の製造過程では、ナノレベルでの精密な作業が求められます。
空気中のわずかな粉塵や化学物質、微生物などがチップ上に落ちることで、
回路の短絡や不具合を引き起こす可能性があります。
半導体製造装置や装置を構成する部品に関しても
そういった不具合を起こさないように低発塵・低アウトガスであることが求められます。
このため、クリーンルームは半導体部品の加工に不可欠な環境となっています。
▼ クリーンな環境で使えるフッ素樹脂の導入実績を多数紹介している記事はこちら!
品質を保つためのクリーンルーム運用方法
クリーンルームは清浄度を保つために「クリーンルームの四原則」を守ることが重要です。
1.持ち込まない
外部から粒子や汚染物質を持ち込まないようにすることが重要です。
作業者もクリーンルーム用ウェアを着用し、エアーシャワーを通過し、粒子を除去してから入ります。
粒子を発生させる可能性のある動作を避ける必要があります。
2.発生させない
クリーンルーム内での粒子の発生を最小限に抑えることが求められます。
これは、作業プロセスの設計、使用する材料や機器の選定によって達成されます。
作業員の動きも制限され、不必要な動作や摩擦を避けることが重要です。
また、使用される機器は、可能な限り粒子発生を抑制するよう設計されている必要があります。
3.堆積させない
クリーンルーム内で粒子が堆積するのを防ぐために、空気流の管理が重要です。
適切な換気システムとエアフローパターンを設定することで、
粒子が作業エリアや製品表面に堆積するのを防ぎます。
4.除去する
万が一クリーンルーム内に粒子や汚染物質が侵入した場合、迅速に除去するシステムが必要です。
これには、高効率な空気浄化フィルターシステム(HEPAやULPAフィルター)が利用されます。
また、定期的な清掃やメンテナンスによって、
クリーンルーム内を常に清潔に保つことが求められます。
この四原則を守ることで、高いクリーン度を保つことができます。
有恒商会のクリーンルームでできること
当社にはクラス6(クラス1000)の工業用クリーンルームがあり、その中には以下設備があります。
※半導体製造装置・それを構成する部品や精密機器、電子部品等に必要なクリーン度の目安は以下となります。
ISO 14644-1 規格:Class5~7
米国連邦規格:クラス100~10000
・カッティングプロッター
・精密連続プレス機
・手動プレス機
・真空パック機(真空脱気包装機)
・クリーンルームクラス100(=クラス5)ブース
▼クリーンルーム内設備についてもっと知りたい方はこちらから!
加工実績
半導体製造装置向けガスケット・パッキンの加工
当社のクリーンルームにはカットからエアーでの洗浄・クリーンパックまで出来る設備が揃っています。
半導体業界のお客様向けで実績多数あります。
▼もっと詳しく実績を知りたい方は、以下記事を読んでみてください!
精密機器向けフィルム+両面テープ貼り合せ加工
精密機器向け部品は、ほこり・繊維などがついてしまうと、たとえ微細なものであっても品質に影響が出てしまいます。
特に粘着付き製品は、粘着面とセパレーターの間にほこり・繊維などが挟まりやすいため
クリーンルーム内で貼り合せ・ハーフカット作業を行います。
おわりに
この記事を通じて、半導体製造におけるクリーンルームの重要性と、
その運用方法についての理解を深めていただければ幸いです。
有恒商会は半導体業界や精密機械業界向けに加工部品を納入し、25年以上の実績があります。
半導体・精密機器向け部品は、対応実績豊富な有恒商会へお任せください!