樹脂製品を扱う上でクリープによる変形、破壊は無視できないものであり、それはパッキンやガスケットなどのシート部品においても同様です。
また極限状態の環境下では各種耐性が高いPTFEが使用されますが、PTFEはクリープに対して弱いことから使用を制限される場合もあります。
この記事では樹脂シート全般やPTFEのクリープによるトラブルに悩まされている方に向けて、原因や対策方法についてもご紹介します。
目次
クリープとは何か?
クリープは樹脂に一定の荷重がかかった際に、時間の経過とともにひずみが増加する現象です。
樹脂のクリープの原理

樹脂は粘弾性特性をもっており、変形が元に戻る弾性と戻りにくくなる粘性の両方の特性を併せ持ちます。
そのため小さい荷重で短時間であれば弾性によって樹脂の変形がある程度戻るのですが、長期間では粘性が影響して変形(ひずみ)が徐々に増加しクリープが起こるのです。
クリープによる影響は主に次の2つがあります。
①永久変形
クリープによって樹脂製品の変形が時間とともに増加し、荷重を取り除いても元の形状に戻らない状態です。
製品形状の変形により当初の機能や性能を発揮できない場合があります。
②クリープ破壊(クリープ破断)
クリープによる変形により樹脂の一部にクラックなどが生じ、最終的に破壊が起こる状態です。
小さな荷重では変形にとどまってクリープ破壊までいきませんが、大きな荷重がかかったり、周囲の温度が高い状況ではクリープが増大して破壊に至ります。
クリープのトラブルで最も問題となる点です。
シート製品のクリープ
クリープはパッキンやガスケットのような薄いシート状の樹脂製品にも発生します。
パッキン、ガスケットはシール材としてフランジなどの間に挟まれますが、その際上下からの圧縮応力を受けています。
そのためクリープの発生条件が揃っており、シートの面方向に変形が発生します。
そしてシール性の悪化、ガスや液体の漏洩に繋がりますので、樹脂シートのシール材は耐クリープ性も求められます。
PTFEのクリープの起きやすさについて
樹脂シート製品にはPVCやPP、PEなどさまざまな材質がありますが、その中でPTFE(フッ素樹脂)は多くの面で優秀な素材です。
しかしクリープ、特に高温環境下でのクリープが発生しやすい為、耐クリープ性の必要な箇所への適用は注意が必要です。
PTFEは耐熱性、耐薬品性が高くシビアな環境下に適用しますが、本材料には熱可塑性があるため高温環境下で柔らかくなります。
その結果、応力、高温という条件が揃うとPTFEは他樹脂材料よりもクリープの進行が早くなり、永久変形の増加、クリープ破壊などのトラブルが発生しやすくなります。
PTFEの使用において、クリープに対する評価は厳しく行う必要があるでしょう。
PTFEのクリープ対策

樹脂材料のクリープ特性を改善するために一般的に用いられるものが「充填剤」で、樹脂に違う物質を混ぜることで特性を変化させます。
充填剤を配合することでPTFEシートでも耐クリープ性が向上します。
充填剤は樹脂の特性改善に幅広く用いられており、黒鉛粉末や金属粉、ガラス繊維などを混ぜることで導電性や耐久性の向上を図れます。
PTFEのクリープ特性の改善にはカーボン/グラファイトやカーボンファイバー、ブロンズ粉などが充填剤として用いられ、シール材としてPTFEを使用する上で効果的な対策です。
しかし充填剤はPTFEの特性を低下させるデメリットもあり、例えば金属粉であるブロンズ粉は酸などの薬品に反応するため、もともとPTFEが持っていた耐薬品性が悪化します。
カーボン、グラファイトなどは耐クリープ性のほかに耐摩耗性、耐熱性等が向上するので一見すると良いのですが、使用時にカーボン粉が摩耗粉として発生するため異物混入を嫌う箇所には不適当です。
またブロンズ系やカーボン系は導電性も高くなりますので、PTFEの持つ絶縁性が低下します。
充填剤の配合はクリープへの対策には有用ですが、充填剤の種類によって使用環境の見極めが必要です。
有恒商会では各種充填剤配合のPTFE素材を幅広く取り扱っています。目的に応じた最適な素材の提案も可能ですので、ぜひ一度有恒商会へご相談ください!
100%PTFEでもクリープ性抜群!ゴア®ハイパーシート®ガスケット

充填剤を配合したPTFEでは環境によっては不適当な場合がありますが、「ゴア®ハイパーシート®ガスケット」は、100%ePTFE製でありながら、熱クリープ耐性が高く過酷な環境下にも適用可能です。
ゴア®ハイパーシート®ガスケットは多孔質の特殊な構造を有しており、柔軟性が高くシール材として高性能な素材です。
100%ePTFEのため耐熱性や耐薬品性はPTFEの特性を受け継いでいますが、さらに高温環境下でのクリープが非常に少ない点は本材料の特筆すべき特性です。
そのため圧縮応力のかかる条件下で長期間安定したシール性を発揮可能であり、耐熱性も通常使用範囲でも-60℃〜230℃、最大使用可能範囲は315℃まで適用可。
耐クリープ性については同一の圧縮応力、温度条件で比較した場合、通常のPTFEのみならず充填剤配合PTFEよりも変形が少なく優秀です。
高温環境下でのシール材でPTFEの特性をフルに発揮したい場合、ゴア®ハイパーシート®ガスケットは有用な選択肢になるでしょう。
お問い合わせは有恒商会へ!
有恒商会では樹脂シートのクリープ性改善についての知見があり、各種充填剤を配合したシート素材のほか、高い耐クリープ性を持つゴア®ハイパーシート®ガスケットを取り扱っています。
耐クリープ性と併せてPTFEの各種メリットを活かした素材ですので、シート素材のクリープで悩んでおられるお客様におすすめです。
またこれら樹脂シートの加工についても弊社で一貫して対応可能で、以下の加工が可能です。
・打ち抜き加工
・カット(カッティングプロッター等)
・クリーンルーム内加工
・アニール処理
・縫製加工
・ハーフカット加工
・貼り合わせ加工
耐クリープ性素材をお探しの方は、ぜひ有恒商会にご相談ください。
当社営業よりご回答させていただきます。









