過酷な環境下で使用する工業部品には、フッ素系材料がよく使われていますが、
フッ素系材料には大きく分けてフッ素樹脂とフッ素ゴムの2種類があり、耐熱性や耐薬品性など使用環境によって選定する必要があります。
この記事ではフッ素樹脂とフッ素ゴムそれぞれの特性や選定基準、また高機能フッ素樹脂素材であるゴア®ハイパーシート®ガスケットの特徴をご紹介します。
目次
フッ素樹脂とフッ素ゴムの違いとは
フッ素樹脂とフッ素ゴムはどちらも分子式の中にフッ素を含んでいる素材ですが、その特性は大きく異なります。
フッ素樹脂はいわゆる熱可塑性樹脂であり、ある程度の硬度を持ちます。
フッ素樹脂にはPTFE、PFA、ETFEなどがありますが、代表的なものは「PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)」で初めて発明されたフッ素樹脂です。
フッ素ゴムは天然ゴム同様弾性に富む素材ですが、分類としてはエラストマーと呼ばれる高分子素材です。
フッ素ゴムは通称であり、FKM、FEPM、FFKMなどが存在します。
そのうち代表的な素材は「FKM(フルオロエラストマー)」です。
今回はPTFEとFKMの2種の素材をそれぞれの代表として、特性や特徴をご紹介しましょう。
フッ素樹脂:PTFEの特徴

PTFEは1938年に開発された歴史のある素材で科学的な安定性が高く、耐久性や耐薬品性、耐熱性などに優れます。
工業素材として優秀な特性を数多く持ちますので、幅広い分野で利用されています。
また身近なところではフッ素加工(テフロン)フライパンの表面コーティング素材に使われます。
フッ素ゴム:FKMの特徴

フッ素ゴムはゴムの持つ弾性に加え、耐薬品性や耐油性、耐候性などに優れるため、過酷な環境下でも使用可能です。
また天然ゴムより耐熱性が高いためフッ素ゴムでなければ対応できない状況は多いです。
フッ素樹脂とフッ素ゴムの特性比較

では次にフッ素樹脂とフッ素ゴムの特性を比較してみましょう。
素材の硬度はフッ素樹脂、弾性はフッ素ゴムが優れており、それぞれ次のような用途があります。
フッ素樹脂
・樹脂構造部品
・化学半導体領域のシール部材
・コーティング材
フッ素ゴム
・ガスケットシーリング材
・パッキン
・ホース
素材表面の低摩擦係数はフッ素樹脂がより優れており、耐摩耗性の高さも魅力です。
耐薬品性や耐油性、低アウトガス性に関してはフッ素樹脂が特に優れているのですが、フッ素ゴムもゴム系素材の中では特に高い耐性を持ちます。
ゴムの弾性や追従性が必要で、なおかつ過酷な環境下ではFKMが選択肢となるでしょう。
PTFEとFKMの耐熱性による使い分け
PTFEとFKMの選定を行う場合に大きな判断材料となるのが耐熱性です。
フッ素系素材は耐熱温度が高く、過酷な温度環境下で採用されることも多いです。
中でもPTFEは260℃と抜群の耐熱性を持っており幅広い状況に対応できます。
フッ素ゴムはフッ素樹脂より多少耐熱温度は下がります。
それでもFKMは200℃〜230℃まで実用範囲ですので、ゴム系素材としては極めて高い耐熱性を持ちます。
フッ素樹脂とフッ素ゴムのコスト比較
フッ素樹脂とフッ素ゴムどちらを採用するか検討する上で、コスト面の比較も重要です。
メーカー、グレード、形状、ロットによって変動はありますが、基本的にはフッ素樹脂のほうが高コストになっており、一般的な樹脂素材と比較しても高価です。
PTFEは非常に高性能な素材ですが、採用にはコストが許容できるかが問題です。
フッ素ゴムはフッ素樹脂と比較すれば低コストですが、一般的なゴム素材よりは高いです。
またフッ素ゴムには耐薬品性と耐熱性に特に優れる「FFKM(パーフルオロエラストマー)」がありますが、この素材は非常に高価でフッ素樹脂を上回る傾向にあります。
高性能フッ素樹脂:ゴア®ハイパーシート®ガスケットのご紹介

有恒商会では100%ePTFE製の樹脂シート製品である「ゴア®ハイパーシート®ガスケット」を取り扱っており、フッ素樹脂でありながらゴム系素材特有の柔軟性、シール性を併せ持ちます。
そのためフッ素ゴムからフッ素樹脂への置き換えが可能であり、フッ素樹脂の持つ高機能性を発揮できます。
ePTFE製樹脂シート「ゴア®ハイパーシート®ガスケット」について
本製品はePTFE 100%のシート素材で、特殊な製法によって柔軟性に優れています。
追従性が高いためガスケットのシーリング材等にも採用可能です。
またPTFEの持つ耐薬品性(pH0〜14.0)は本製品でも発揮でき、有機溶剤への耐性もあります。
使用可能な温度域は通常使用範囲でも-60℃〜230℃、最大使用可能範囲は315℃まで対応しており、フッ素ゴムの対応できない部位にも使用可能。
弊社ではゴア®ハイパーシート®ガスケットの原反シートから以下のような加工を行っており、シーリング材だけでなく樹脂製カバーやジャバラなどにも加工できます。
弊社で対応できる加工
・打ち抜き加工
・カット(カッティングプロッター等)
・クリーンルーム内加工
・アニール処理
・縫製加工
・ハーフカット加工
・貼り合わせ加工
置き換え事例①溶剤などでFKMが膨潤してしまう
FKMは有機溶剤等のある環境下では、膨潤により肥大化してしまうのが問題でした。
通常のPTFEであれば薬品耐性は高いですが、硬質でシール性などはありませんので代替が難しい点が悩みでした。
そこでゴア®ハイパーシート®ガスケットであれば柔軟性と耐薬品性を両立できる為、弊社よりご提案して解決に導きました。
置き換え②半導体製造工程内でのカバー素材置き換え
半導体製造工程では異物混入防止のカバーが必須で、当初はFKMの成形ジャバラが検討されました。
しかしFKMではどうしても硫黄等のアウトガス発生が問題となり、クリーン性の高いPTFE製のゴア®ハイパーシート®ガスケットを採用しました。
本件は採用箇所が少なく小ロットとなったため、縫製でのジャバラ作成で対応でき、コストも抑えることができました。
置き換え③高コストのFFKMからの置き換え
薬品を取り扱うラインのパッキンには高い薬品耐性が求められますが、フッ素ゴムの中で特に耐性の高いFFKMは高コストが問題です。
ですがゴア®ハイパーシート®ガスケットであればFFKMと比較して同等以上の耐薬品性を発揮でき、素材の持つ柔軟性はパッキン素材としても利用可能です。
コスト面もFFKMより抑えることが出来るので、置き換えによってコスト削減が可能となります。
お問い合わせは有恒商会へ!
フッ素樹脂とフッ素ゴムは過酷な環境下で耐性を持つ素材で、工業分野で幅広く利用されています。
代表的なPTFEとFKMは耐熱性や耐薬品性などに優れますが、どちらも得意な領域がありますので、本記事を参考に比較検討を行いましょう。
また有恒商会ではゴア®ハイパーシート®ガスケットを取り扱っており、フッ素ゴムからの置き換えについてご相談を承っています。
シートの各種加工を弊社内で行っており、カット、クリーンルーム内加工、縫製、貼り合わせ等が可能です。
フッ素樹脂とフッ素ゴムの比較検討、またはゴア®ハイパーシート®ガスケットにご興味のあるお客様はぜひ一度有恒商会へお問い合わせください。
当社営業よりご回答させていただきます。
