フッ素樹脂はその非粘着性や耐熱性、耐薬品性により幅広い分野で利用されています。
しかし、これらの優れた特性が「接着や塗装をしたい」となった場合には障壁となることも!
この記事では、「くっつかない」フッ素樹脂の接着方法や表面処理方法、
実際の活用事例について詳しく解説します。
目次
フッ素樹脂がくっつかないのはなぜ?
フッ素樹脂が他の物質とくっつかない主な理由は、その表面エネルギーの低さにあります。
表面エネルギーが低いと、物質間の接着力が弱くなるため、フッ素樹脂は自然と滑りやすく、
何も付着しない特性を持っています。
また、フッ素樹脂は熱や化学薬品に対しても非常に安定しているため、
通常の接着剤や塗料では接着や塗装が困難です。
フッ素樹脂表面処理(親水化処理)の方法について
フッ素樹脂の表面処理は、その表面エネルギーを高め、接着材や塗料を付きやすくするために行われます。
表面処理の方法は、大きく分けて「物理的な粗面化」と「化学的な改質」の2つに分類されます。
物理的な粗面化(プラズマ処理)
プラズマを照射することにより、表面改質し、接着性を向上させます。
化学的な表面改質(ケミカルエッチング)
表面処理液でのエッチングにより表面改質し、接着性を向上させます。
有恒商会で出来るフッ素樹脂表面処理(親水化処理)の原理について
有恒商会では、化学的な表面改質(ナトリウムによるフッ素樹脂ケミカルエッチング)
を行っています。
ここでは、その原理について紹介します。
フッ素樹脂は、基本的に炭素原子が長い鎖を作り、
その鎖がフッ素原子によって覆われている構造となっています。
フッ素原子は、水や他の物質となじみにくい性質を持っているため、
フッ素樹脂は水をはじく(撥水性)という特徴を持っています。
ナトリウム原子を含む特殊な処理液を塗布することで、
液体に含まれるナトリウム原子が、フッ素樹脂の鎖からフッ素原子を引き抜く役割を果たします。
フッ素原子が引き抜かれると、フッ素樹脂の鎖から空いたスペースができ、
そこがいわば「くっつきやすい」状態になります。
さらに、この処理をしたフッ素樹脂が空気に触れると、空気中の酸素や水分と反応して、
水に親和性のある官能基(例:水酸基やカルボキシル基など)が形成されます。
そうなることで、フッ素樹脂は水や他の物質ともなじみやすくなり、
接着や塗装がしやすい表面に変わるわけです。
処理効果はどのようにして分かる?
表面処理の効果は、外観を見れば一目瞭然です。
親水化する(水をはじかない)
未処理の状態では水をはじきますが、表面処理後は水がなじんで広がります。
これが「親水化」している状態です。
このような状態になることで水や接着材がなじみやすくなります。
褐色化する
また、表面処理をすることで色は褐色化します。
※フッ素樹脂の種類により、色の変化の度合いは変わります。
フッ素樹脂表面処理活用事例について
PTFE+充填剤入りPTFE 【特性の異なるフッ素樹脂を接着し、複合材開発!】
業界:産業用機械
用途:摺動部材
耐熱性があるため高温環境での使用が可能です。
耐摩耗性もあるためメンテナンス頻度が少なくて済み、長寿命化にも貢献しています。
当社では、ホットメルト接着剤の塗布機械(ホットメルトロールコーター)や
プレス機(ビク型による打ち抜き加工が可能)も保有していますので、
表面処理・接着・ご希望形状への加工までワンストップで対応可能です。
充填剤入りPTFE【金属と接着し、配管部品の長寿命化!】
業界:インフラ・プラント業界
用途:配管サポート材
表面処理をした充填剤入りPTFEを金属と接着し、配管サポート材として使用します。
配管サポート材としてしっかり固定しながらも
フッ素樹脂の滑り性を生かして温度変化による配管の熱膨張・収縮に対応!
耐候性もあるため、屋外で使用しても劣化しにくいです。
おわりに
フッ素樹脂の表面処理(親水化処理)技術は、「くっつかない」特性を「くっつく」特性に変えることができます。
「表面処理ってどのくらいの価格になるの?」
「どの程度接着力が上がるのか、実際にサンプルを見てみたい!」
「自社で使っている材料が表面処理ができるのか、専門の人に聞いてみたい」
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