縫製ジャバラ設計ガイド

はじめに

こんな状況の方はぜひ読んでみてください!

「実際自社の今の状況ではどのような仕様のジャバラを設計するのが最適なのかわからない」

「早急に組み込みたいので、専門の人に相談したい」

「実際に作ったとき、どのくらいの価格になるか知りたい」


縫製ジャバラは、機器の運動機構部分が受ける屈曲や伸縮、

外的条件(水、薬品、油、熱等)から保護する重要な役割を担っています。
通常、ゴム引き布や樹脂シートから作られたアコーディオン状の形状で、伸縮するのが特徴です。


このコラムでは、縫製ジャバラの効果的な設計ポイントについて説明し、

当社で実績のある事例についても紹介していきます。

「そもそもジャバラって何?」という方はこちらの記事をお読みください。

縫製ジャバラとは

縫製ジャバラは、工業用途で広く使用される柔軟な保護カバーです。

機械の可動部分や配管を、塵、水、化学薬品、油などから守るために取り付けます。

アコーディオンのように伸縮自在な構造をしており、

機械の動きに合わせて伸縮することで、機械内部の部品を保護します。

材質は、ゴム引き布・ナイロンターポリン・シリコンゴム等、

使用環境に応じて様々なものが選ばれます。

ジャバラを取り付けることで、

・機械可動部の安全カバー(指や腕のはさみ込み防止)

・可動部を液体・塵から守り、メンテナンスコストを削減する

という重要な役割を担っています。

縫製ジャバラの効果的な設計ポイント3選

縫製ジャバラは、お客様のニーズに応じたオーダーメイド製品として、

図面をもとに1つ1つ丁寧に製造されています。

オーダーメイド製品を設計する際には、お客様の要望や性能要件を満たすことが極めて重要です。

ここでは、ジャバラを設計する上で注目すべき3つの重要なポイントについて解説します。

大切なポイントは以下3つです。

1.ニーズに合わせた「材料」を選んでいるか

2.設置環境や要件に応じた最適な「形状」を選んでいるか

3.機器の最大伸縮範囲を考慮した「寸法」設計ができているか

この3つのポイントを押さえた上で設計を進めることで

性能・コスト共に良いジャバラを作ることができるでしょう。

縫製ジャバラの材料選定基準について

ジャバラを設計・製作する上で、材料選定は大切な条件の1つです。

・どのような気温・環境で使うか?

・どのような機器を守るのか?

・どのようなものから守るのか?

について考慮し、最適な材料を選定します。

使用環境と必要な性能例

どのような気温の中で使用するか?

使用する気温によって、十分に耐久性がある生地を選定します。

あくまでも一例ではありますが、選定例を紹介します。

常温:屋内・屋内で防塵や雨よけ目的に使用する場合、

CRゴム引き布が使われます。

高温:レーザー加工機の可動部で火花がかかる部分に使用する場合は、

ジンテックス(ジェンテックス)が使われます。

低温:自動車工場の環境試験装置内で使用する場合は、

シリコンゴム引き布が使われます。

どのような機器を守るのか?

縦横に伸縮運動するものや、振動するもののカバー用途で使用されます。

例えば、以下の機器に取り付けられます。

・ボールねじ

・昇降機

・ジャッキ

・リニアガイド

・配管

・クレーン

レーザー加工機の火花に耐えられるジャバラ
※レーザー加工機の可動部にも火花に耐えられるジャバラが取り付けられています。

どのようなものから守る目的なのか?

ジャバラでカバーするものを、「どのようなものから守るために取り付けるのか」

ということも重要な要素になります。

あくまでも一例ではありますが、選定例を紹介します。

防水目的:屋外で使用するジャッキの雨よけ用途に使われる場合の材料は

CRゴム引き布が使われます。

防塵目的:樹脂・金属の切削加工機械の可動部分に切り粉が入らないように使われる場合の材料は、

CRゴム引き布が使われます。

耐薬目的:薬品が飛び散る環境で使用される半導体製造装置のシリンダーのカバーとしての材料は、

フッ素ゴム引き布が使われます。

耐油目的:工作機械の可動部に工業用油付着防止のために使われる場合の材料は、

NBRゴム引き布が使われます。


使用環境に合った生地を使用することで、長寿命化し、交換頻度が減少するため

長い目で見たときのコストダウンにも繋がります。

縫製ジャバラの形状設計について

保護対象の機器やその周辺機器との干渉を避けるために、

丸型、角型、コの字型など、様々な形状から選定します。

特定の設置環境や要件に応じて、最適な形状を提案いたします。

縫製ジャバラの形状例

丸ジャバラ

丸ジャバラは名前の通り、外周が丸いジャバラです。

円柱状のものに対してジャバラの口元を被せ、ホースバンドで固定して取り付けます。

ボールねじやジャッキなどのカバーとして使われます。

製作方法:

シート材料を筒状に縫製し、等間隔でリングを入れて製造します。


角ジャバラ

角ジャバラは、外周が角ばっているジャバラです。

ジャバラの両端にフランジに取り付ける穴がついており、

四角形の相手材に対して専用のねじや固定具で取り付けます。

シリンダーや昇降機などのカバーとして使われます。

製作方法:

シート材料を筒状に縫製し、等間隔でリングを入れて伸縮をサポートします。

※上の画像のジャバラは、機器を取り外さず、ジャバラのみ交換できるようファスナー付きの仕様となっています。


コの字ジャバラ

コの字ジャバラは、カタカナの「コ」の形をしたジャバラです。

ジャバラの両端にフランジに取り付ける穴がついており、

動く相手材の横と上を門のように専用のねじや固定具で取り付けます。

リニアガイドのレール部分などのカバーとして使われます。

製作方法:

シート材料をコの字に切り抜き、山部と谷部を何枚も縫い合わせることでジャバラの長さを出していきます。


縫製ジャバラの寸法設計ポイントについて

ジャバラの寸法設計において、機器の最大伸縮範囲を考慮したMAX寸法とMIN寸法の設定、

適切な外径と内径の選定が必要です。

これにより、機器の動作を妨げることなく、必要な保護を提供します。

MAX寸法


MAX寸法とは、最大限伸ばした寸法のことです。
長すぎるとたるんでしまう可能性がありますし、
短すぎると機器全体が保護ができない可能性もありますので、適切な長さで設計することが大切です。

MIN寸法


MIN寸法は最小限に縮めた寸法のことです。

ジャバラのMIN寸法が大きくなってしまうと

機器の運動範囲を狭めてしまう可能性があるため、設計時に注意が必要です。

外径


ジャバラを保護することで他の機構に緩衝してしまう可能性がありますので、
緩衝しない外径で製作することが大切です。

内径


ジャバラで保護するボールねじや可動機器が緩衝すると、

機器の停止や故障に繋がることがあります。

そのため、適切な内径設計をすることが大事です。


まとめ【ジャバラの設計ポイント】

繰り返しにはなりますが、ジャバラの設計において大切なのは以下3点です。

1.ニーズに合わせた「材料」を選んでいるか

2.設置環境や要件に応じた最適な「形状」を選んでいるか

3.機器の最大伸縮範囲を考慮した「寸法」設計ができているか

このようなポイントをもとに、ジャバラの材料選定や形状・寸法設計進めるとよいでしょう。

「それでもよくわからないから、専門の人に話を聞きたい」

「社内で図面を書いてみたけど、仕様に問題が無いか確認してほしい」

「似たような形状の製品サンプルを見ながら、より詳しい打ち合わせをしたい」

という方は、有恒商会に相談してみませんか?

工業用部品業界で70年積み上げた実績をもとに、ベストな提案をさせていただきます。

有恒商会の提案事例

有恒商会で提案実績のある事例について紹介します。

食品工場向け設備のボールねじのカバー

≪ご相談内容≫

こちらのお客様は、洗浄時に水がかかるため、防水目的でのジャバラが必要でした。

≪提案内容≫

常温使用で防水目的とのことで、

材質:CR(クロロプレン)ゴム引き布

仕様:丸ジャバラ

※吸気口:ドレンチューブ仕様を提案しました。

鉱業所の粉体搬送用シューターのカバー

≪ご相談内容≫

粉体搬送用のシューターのカバーとして取り付けるジャバラがほしい。

以前はゴム系の素材を使っていたが、工業用油で劣化してしまったので

油に強い素材で製作してほしい。

≪提案内容≫

耐油性・耐薬品性に優れている多孔質PTFE素材の縫製ジャバラを提案しました。

シューター用ジャバラ

クリーンルーム内のボールねじ用ジャバラ

≪ご相談内容≫

こちらのお客様は、クリーンルーム内のボールねじに指挟み防止のカバーを

つけたいとのことでしたが、ゴムシートやナイロンの生地では発塵するため

ジャバラを付けるのを諦めていました。

≪提案内容≫

多孔質PTFEを縫製して作ったジャバラを提案しました。

シート・縫製用の糸ともに100%PTFEですので発塵しません。

半導体製造装置のパッキンやケーブルカバーにも使用実績がある材料ですので、

クリーンな環境で安心してお使いいただけます。

 

多孔質PTFEジャバラ

おわりに

縫製ジャバラの設計は、その用途と機能性を十分に理解し、

適切な材料選定と設計の工夫を行うことで、性能・耐久性ともに良いものとなります。

有恒商会では、実際にジャバラを組み込みたい方のサポートをさせていただきます。

少しでもご興味がある方はまずは無料相談から!

お気軽にお問い合わせください。