カッティングプロッターと打ち抜き加工は、どちらも材料をカットする加工方法ですが、
それぞれのメリット・デメリットと適した使用シーンがあります。
この記事では、これら2つの加工を詳しく比較し、どのような状況でどちらの加工が最適かについて解説します。

カッティングプロッターとは?

カッティングプロッターでできること


カッティングプロッターは、CADデータをもとに紙、プラスチック板、フィルム、布などの薄い材料を精密にカットする装置です。
カッターナイフで材料を切り抜く作業に似ています。
CADソフトと連携して刃が動くため、複雑な形状も再現可能です。
試作品や1個~の小ロットの加工品を製作する際によく使われます。

カッティングプロッターのメリット・デメリット

メリット


・金型を作らずにカットが可能なため、小ロットで流動する製品を安価に製造できる。
・設計変更があったとき、データを書き換えるだけで容易に仕様の修正ができる。

デメリット


・厚手の材料や非常に硬い材料、ゲル状の材料には不向き。
・生産スピードが比較的遅い。

打ち抜き加工とは?

プレスでの打ち抜き加工でできること


打ち抜き加工は、ビク型(トムソン型)をプレス機に取り付けてシート材料を打ち抜く加工です。
一度型を作ってしまえば、データ入力なしで製品を製作することができ、
多面付けの型を用いることで一度に複数の製品を製作することも可能です。
量産品や大量生産が求められる場合に適しています。

打ち抜き加工のメリット・デメリット

メリット


・大量生産に適しており、一度ビク型(トムソン型)を作ってしまえば加工コストが比較的安価。
・安定した精度の製品が量産できる。

デメリット


・型の製作に初期コストがかかる。
・寸法変更があった場合、型を作り替える必要がある。

カッティングプロッターと打ち抜き加工の比較

カッティングプロッター打ち抜き加工
コスト型代ゼロで製作可能。
都度、CADデータをもとに刃を動かしてカットするため加工費は高め。
初期投資として型代が必要だが、
大量生産する場合加工費は抑えられる。
外観仕上がり刃が動いて材料を切り抜くため、
断面は角ばっており、相手材の全面にガスケットが接触する。
刃が当たる部分に圧力がかかるため、製品の角に丸み(ダレ)ができる。

パッキン・ガスケットを製作する場合、面の仕上がりを気にするお客様はそこまで多くなく、
量産品を安く作りたい場合は打ち抜き加工のほうが安価となります。


相手材の全面へパッキン面をぴったりとつけたい場合はカッティングプロッターで加工するのがおすすめです。

カッティングプロッターの加工事例

材質: ゴア®ハイパーシート®ガスケット
数量: 1個~
向け先: 半導体


半導体製造装置向けの部品となります。
多品種小ロットで対応するため、カッティングプロッターで製作しています。
当社はクリーンルーム内にカッティングプロッターがありますので、
カットからクリーンパックまで対応しております。

ニチアス TOMBO No.1995 加工品

材質: ニチアス TOMBO No.1995
数量: 1個~
向け先: 産業用機械


受注生産をする産業用機械は、部品も仕様に合わせてオーダーメイド製作が必要です。
カッティングプロッターで製作することで必要なタイミングで1個~型なしで製作することができます。

日東電工 エプトシーラー No.685 加工品

材質: 日東電工 エプトシーラー No.685
数量: 1個~
向け先: 自動車


自動車向けの補給部品(古いモデルのメンテナンス交換用)が必要となった場合、
カッティングプロッターで製作することがあります。

打ち抜き加工の加工事例

ゴア®ハイパーシート®ガスケット加工品

材質: ゴア®ハイパーシート®ガスケット
数量: 数万個/月
業界: 家電

生産台数の多い家電向け部品の場合、打ち抜き加工で製作することで
早く・安く・確実に量産することができます。

日東電工 エプトシーラー No.686 加工品

材質: 日東電工 エプトシーラー No.686
数量: 数千個/月
業界: 自動車

製品の大量生産が必要な場合は多面付の型を製作することで
1ショットで複数個の製品を加工することができます。
型の面付けを増やすことで型代(イニシャルコスト)は上がりますので、
案件ごとに設定台数を確認し、適切な面付数を提案いたします。

CRゴムシート+両面テープ(日東電工 No.512)加工品

材質: CRゴムシート+両面テープ(日東電工 No.512)
数量: 数十個/月
向け先: 鉄道車両


ドア用防塵シートの細かい切れ込みは、ビク型(トムソン型)を作ることで
1ショットで打ち抜くことができます。
複雑な形状でも、打ち抜き加工であれば安定した精度の製品が仕上がります。

おわりに

カッティングプロッターと打ち抜き加工は、それぞれに強みがあり、
数量や必要とされる仕上がりに応じて加工方法を選択することが大切です。

「この材料はどのくらいの精度で加工できる?」
「カッティングプロッターと打ち抜き加工品のサンプルを実際に見てみたい」
「ガスケットを今よりコストダウンするにはどうしたらいいか、専門の人に聞いてみたい」

という方は有恒商会に相談してみませんか?

当社営業より最短・無料で回答させていただきます。